時に任せることで、本当に酒は進化しているのか?酸化し、老ねていく味。それは「変化」であって、「進化」ではないのではないか。そんな問いが、すべての始まりだった。
水が凍る直前の世界。0℃から氷点下5℃という、人の感覚さえ遠のく静寂。この温度帯に、日本酒を預けた。熱も、ざわめきも、雑味も届かない。その結果酒は眠るのではなく、目を覚ました。
色は澄んだまま、香りは凛と立ち、旨みだけが、静かに、確かに、輪郭を描いていく。それは、時を止めることでしか辿り着けない、“枯れない熟成”という新たな境地。私たちは常識を捨てた。そして、時間に頼らず、温度と対話する道を選んだ。
氷温、0℃以下でリザーブすることで、酒の持つ本来の魅力を再発見していく。温度が酒を科学するプロジェクト。調和、酸化の抑制、円熟。氷温がもたらす変化は、味わいを磨き、奥行きを深める。その一滴は、ただの酒ではない。Ondoが提案するのは、温度が奏でる物語。今まで知らなかったSAKEの新たな側面が、あなたを驚かせる。
ワインを愛する者として、この日本酒に強く惹かれました。私たちは、その静けさと深まりのすべてを、一滴に込めてお届けいたします。
その一滴に、時が宿る。
零度から氷点下五度——
水が凍る直前、静謐(せいひつ)が支配する世界で、酒は深い眠りにつく。熱がもたらす時の翳(かげ)りも、歳月(さいげつ)に染まる色の移ろいも、この世界には及ばない。ただ水とアルコールが静かに寄り添い、“馴れ(なれ)”という名の微細な対話が続いていく。凍りつくことはなく、乱されることもなく、静けさの中で分子は語らい、旨みは内へ内へと凝縮されてゆく。やがてその一滴は、まるで長い夢から目覚めたように、しんと澄んだ香りをまとい、やわらかな余韻を残す。
そして私たちの心に沁み渡る。それは、熱でも圧でもなく、ただひたすらに静かな時が育んだ、透明な祈りのような酒。Ondo それは、氷温という奇跡が導く、静けさの中にひそむもっとも静かな衝撃。そして、日本酒の新たな物語。氷温で静かに育まれた日本酒は、ほのかな甘みから澄んだ辛口へと移ろう、清冽(せいれつ)な一本です。
余韻はすっと消え、あとには静けさだけが残る、まるで雪解け水のよう。控えめな旨みと寄り添うことで、酒の輪郭がいっそう際立ちます。この静けさが、そっと皆さまの食卓に寄り添いますように。
発起人 戸塚尚孝(J.S.A.認定ソムリエ/シャンパーニュ騎士団/ボルドー騎士団 シュヴァリエ)
日本酒における氷温熟成は、0℃以下の未凍結温度帯で酒を貯蔵・熟成させる技術です。この方法により、搾りたての日本酒が持つやや荒々しい酒質が落ち着き、まろやかで上品な味わいへと変化します。
また、生酒や吟醸酒特有のフレッシュな香味を損なうことなく、熟成による奥深さを加えることが可能です。通常の熟成で見られる過度な着色や老香(ひねか)と呼ばれる熟成香の発生を抑制し、酒本来のクリアな香味を長期間保つ効果も期待できます。これにより、従来とは異なる新しい価値を持つ熟成酒を生み出しています。
唯一無二のテクスチャー氷温(-5℃前後)という温度環境で熟成させることで、酸化を抑えつつ旨み成分を引き出し、繊細で奥行きのある味わいへと進化させる。従来の新酒や古酒とは異なる、氷温熟成ならではの、違いを楽しみながら、ハズレがないという日本酒体験を提供する。
独自のネットワークを活かし、全国の酒蔵と提携して、各地の特色ある酒を選び抜く。新潟の端麗辛口、兵庫の芳醇な味わい、福井の繊細な吟醸香など、地域ごとの個性を活かしつつ、氷温熟成に最適な酒を厳選。これにより、各地の伝統を尊重しながらも、氷温熟成による軸となる味わいを統一する。
単なるセレクトではなく、IZUMISE KYOTOの厳格な品質基準を持つ。酒蔵ごとの個性を活かしつつ、氷温熟成の温度を分析し、最適な状態での熟成を徹底。熟成の進行を細かくモニタリングする。
ワインなどを愉しんできた私たちは、正直、日本酒には酒質の重さや当たり外れの多さから苦手意識を抱いていました。
しかし氷温熟成の日本酒に出会い、その考えは一変しました。この想い、そして氷温熟成の良さをもっと色んな人に届けたい。多種多様なお酒を扱ってきた我々だからこそ、この感動を迷わず手に取れる一本として届けたい。氷温熟成日本酒の魅力を広く伝えることを使命とします。